「一斎先生こんにちは」Vol.9 岩村郵便局のポスト
珍しい明治のデザイン 一斎の教えは「郵便の父」前島密にも
恵那市岩村町の中心部にある岩村郵便局。その前にクラシカルなポストが立っています。これは140年ほど前、明治20年ごろに立てられた、今では珍しいデザインのポストです。色は濃いグレー。小ぶりで、重要伝統的建造物群保存地区の町並みになじんでいます。
焦げ茶色の格子(こうし)があしらわれた局舎。備品の消火器は屋根付きの木箱に収められ、隣近所は江戸時代の旧家の建物。そして赤・青・白の3色灯が回る、昔ながらの床屋さん。映画のような光景が広がります。
郵便制度が始まったのは明治4(1871)年です。調べてみたら、郵便制度にも間接的にですが、佐藤一斎のかかわりが見られました。それまでの飛脚に代わり、切手と投函というシステムを整えたのが「近代郵便の父」前島密(まえじま・ひそか)。その前島は一斎の孫弟子に当たります。
12歳で新潟から江戸に出た前島に高等学問を授けたのは、一斎の直弟子の安積艮斎(あさか・ごんさい)でした。一斎、艮斎は、朱子学などの古典を通して個の人格の陶冶(とうや)や社会貢献を説いており、郵便にとどまらず、電気通信、鉄道、新聞の整備にも尽力した前島には、艮斎経由で一斎の精神が伝わっていたことでしょう。艮斎は吉田松陰、高杉晋作、岩崎弥太郎ら名だたる志士を指導しており、前島も同世代の彼らと机を並べていたかもしれません。
岩村郵便局の局舎に掛かる一斎の名言札は「胸中に物無きは、虚にして実なるなり。万物皆備わるは、実にして虚なるなり」。「スピード命」のデジタル時代ですが、たまにはペンを手に、虚心に手紙を書くことも良いかもしれません。

岩村郵便局前に立つ明治中期のデザインのポスト

岩村町にたくさん残る赤い丸型のポスト

前島密
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「なかつがわ今昔物語」Vol.14 恵那山とW・ウェストン
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